東京はことさら変化が激しい。風景が日に日に変わるのだ。
かつては、新宿西口の公園から、夕暮れの太陽光を浴びて黄金色に輝く高層ビル群に感動したころが実に懐かしい。そこには人類文明の英知を結集した美しさがあると感じたのだ。現在の東京都庁舎が建った1991年以前の話である。
その風景が大きく変わったのは、特に2000年以降ではないだろうか。高層ビルが次々に立ち並び、地表を歩く人間には気付かないうちに、見上げる空には大きな変化が訪れている。しかし、人々が都心で空を見上げることは少ない。歩道で歩きながら空を見上げればそもそも危険である。そして、周りからは奇異な人物と思われるだろう。そいったわけで、私も都心のビル群を見ることができるのは、勤務しているオフィスの窓から外を眺めた時くらいである。
最近再びオフィスの窓から見える景観に、2棟の高層ビルが現れた。クレーンが徐々に上部に引き上げられ、骨組みは外装に変わる。壁面が色づき、都心に浮かぶ新たなモニュメントとなるのだ。
この新しく登場したビルは、一体どこに、どういう目的で建てられるものなのか。それは、建築工学を専攻した自分の琴線に触れる疑問であった。都心の一筋の道を歩いていても全く気にならない高層ビルも、高層ビル内の窓面から眺めるとやはり気になるものだ。そのファサードから想像するビルの内側では、常に私と同じように活動している人々がいるはずである。
製図の特訓をしばらく休んでいる間に、図書館へ行って見つけた本がある。おそらく、いかに建築に関連したものであると言えども、本をニンマリと眺めていられるのは今のうちだ。そう思いつつ、最近は独学の寄り道を楽しむ毎日なのである。

超高層ビビル〈4〉日本編(2) (Skyscrappers Vol 4)
- 作者: 中谷幸司
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