一級建築士資格独学散歩道

一級建築士資格取得までの道のりを散文的に綴ります。

12.建築法例集はどれを買うべきなのか

 昨年は建築法規の点数が芳しくなく、学科試験を落としてしまった。だから今年は特に法規に力を入れたい。

 ところで、建築法例集を買おうとすると、だいたい4つの選択肢しかない。
  1. 日建学院のオレンジ本横書きA5判
  2. 日建学院のオレンジ本縦書きA5判
  3. 総合資格学院の緑本B5判(ワイドサイズ)
  4. 総合資格学院の緑本A5判(コンパクトサイズ)
 昨年受験した時の試験会場では8割以上が緑本であった。そして、そのうち3割近くがワイドサイズ版だったと思う。
注)小職もその後を経て現在は緑版を使用しています。詳しくはこちら
 

それぞれの特徴について書いておこう。

1,2.日建学院のオレンジ本
縦書きと横書きの2種類がある。縦書きはおそらく使いづらい。法文には面積や高さなどの数値が多く含まれているからだ。そもそも法例集は読み物ではないのだから、縦書きを選択することはありえないと思う。
3,4.総合資格学院の緑本
B5判とA5判のサイズの違う2種類がある。中身は、実はまったく同じであり、A5判はB5判の縮小版である。コンパクトさを選ぶか、文字の大きさによる可読性を選ぶかの選択になる。A5判を選択した場合、文中に挿入されている一覧表の文字はさらに小さくなる。日々使うこを考えると、A5判を選択するには相当な覚悟が必要だ。
 
 結果的に、オレンジ本であれば横書きを選択し、緑本であればB5判を選択するという2者択一になる。ではオレンジ本と緑本のどちらを選択するべきなのか。
 
〓 オレンジ本、緑本の仕様比較
 
オレンジ本と緑本の最も大きな違いは、以下の点だ。
オレンジ本→A5判段組なし、1,252ページ、厚さ38㎜(実測値では33㎜)
緑本→B5判2段組、997ページ、厚さ27㎜

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 もちろん違いはこれだけではない。もう少し細かい点も突き詰めてみよう。
 まず、オレンジ本も緑本(B5判)もフォントサイズはほぼ同じである。行間はオレンジ本の方がやや広い。つまり、ページの広さを考えれば緑本の方が閲覧性が高いことになる。
 各ページヘッダの見出しは、オレンジ本は左肩に章立てを、右肩に条文の番号を載せている。これが緑本になると逆になる。
 各条文末尾には関連条文のへ参照先が書いてあるが、オレンジ本では見出語を赤文字で、参照先を黒のゴシックで書いている。参照先の数は緑本の方がやや多いかもしれない。ただし、色分けがされていないため区別はしづらい。
 インデックス用のシールはオレンジ本の方には最初から付属してくるが、緑本は申し込みハガキを送ると返送されるようだ。インデックスの数は緑本の方が多い。アンダーラインのお手本集は双方とも申し込みハガキで送られてくる。
 
〓 オレンジ本、緑本の思想の違い
 
 以上が外形的な違いであるが、双方の思想的な違いは以下の点に表れていると思う。
 緑本にはそれなりに親切心に基づく工夫があるように見える。まず、インデックスシールを貼るためのゲージがあらかじめ印刷してある。オレンジ本はマニアックに定規で線を描く必要があった。
 一方で、緑本には要らなそうな工夫もある。条文の末尾に四角枠に囲われた[あ]〜[を]の符号だ。これは、主要な法規の巻頭に改訂履歴を掲載しており、そこへのインデックスとなっている。はたしてどのような時に活用するのかさっぱり見当がつかない。
 抜粋となる建設業法などの条文の数は緑本の法が多そうである。ただし、私はこれは全てを確認したわけではない。
 
 オレンジ本の利点は何と言っても全ページ2色刷りであることだろう。条文のヘッダや参照先に赤文字が使われており、視覚的に区別しやすい。2色刷りは印刷コストが高くなることと、双方の値段がほぼ同じことを考えれば、オレンジ本の方がコストパフォーマンスは高いと言えるかもしれない。ちなみに、紙質の違いについては私には分からないが、オレンジ本の方が辞書の紙に近い上質なもののように思える。
 
〓 独学者はどちらを選択するべきか
 
 結論を述べるなら、試験のときは出来るだけ法令集に頼りたくない、という私のような考えの持ち主はオレンジ本がよいと思う。つまり、日常的学習での使い安さを重視するという考え方だ。
 私の場合、建築法規を学習する期間は、常に法令集をカバンに入れておくわけだが、インデックスをつけた状態でカバンから出し入れすると、必ずインデックを引っ掛けて切れてしまう。そのための、私は法令集用にケースを購入した。たまたま文房具店でみつけたものであるが、厚みもサイズもぴったり。インデックスを小口と天につけた状態で、すっぽりと収まるのだ。緑本はケースに入れるとさらに面積が嵩張り、カバンに入らない可能性が大きい。そもそもサイズがちょうど合う市販のケースはないかもしれない。
 逆に、試験中に法令集を十分活用したいと考える人は、緑本はがよいと思う。付属するインデックスの数も緑本の方が断然多いようだ。面積が広い分インデックスの一覧性も向上する。つまり検索性能が断然高いはずだ。
 
 残念ながら、昨年度は試験中に法令集を引く余裕はそれほどなかった。そもそも試験中は、全く不明な問題と確認が必要な問題に限って使用する程度にしないと、法規での高得点は狙えないのではないか。つまり、試験中に法令集に頼りすぎるのもあまりよろしくないと思うのだがどうだろうか。

 

建築基準法関係法令集 2016年版[平成28年版] (オレンジ本(横書き))

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  • 作者: 建築資料研究社,日建学院
  • 出版社/メーカー: 建築資料研究社
  • 発売日: 2015/11/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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平成28年版 建築関係法令集 法令編

平成28年版 建築関係法令集 法令編

 

 ※記事の中で紹介したケースというのは「エイチ・エス」という会社の製品だが、もしかすると製造をやめているかもしれない。ホームページにはまだ製品を載せているのだが。

フロスティケース 取っ手なし | ケース&ボックス|製品情報 | 株式会社エイチエス

※実は書店で二つの法令集の厚みを比較してみると、その差は5㎜程度しか無いように感じた。実際に手元にある昨年のオレンジ本の厚みを測ってみるとすると32㎜である。38㎜というのはAmazonの表記によるものだが、今度書店で直接厚さを測ってみようと思う。というか、新しいのを買うかもしれない。

※書店でオレンジ本の厚みを実測したところ2016年版は33㎜であった。Amazonの表記は間違いである。ちなみに、緑版はAmazonの表記の通り27㎜だった。