一級建築士資格独学散歩道

一級建築士資格取得までの道のりを散文的に綴ります。

28.独学ギャップの現実とは

 独学とは何か。それはつまり、一人で学ぶことであり、その反意後は「組織的学習」なのである。この時、独学者が組織的学習者に対して最も不利な点とは、実際に受験をするまで自分が全体の序列のどの辺にいるのかが不明となる点であろう。それはある意味、見えない敵と戦っているようなものである。
 しかし、これはあまり一般的な話とはいいがたい。なぜなら、これまで私が取得した資格においては、過去問題集でおおむね合格点が獲得できていれば、本番の試験においても合格が可能であったからだ。その例としては、ビジネス実務法務やファシリティマネジャーなどの資格試験があげられる。これらの試験は民間資格に近いこともあり、ハードルが低く特に対策をすることもなく、ある程度の学習量をこなせば合格可能なのである。つまり独学者と組織的学習者が互角に戦える民主的資格といってよい。

 

 さて、一級建築士の学科試験については、今回の3回目の受験結果をみて、前回のブログ記事でも大いに反省の弁を述べそして対策を披露したのであるが、も少しばかり詳しい事情を説明したい。その事情とは、本試験前に受けた模擬試験と、そして本試験対策講座についてである。
 
1.模擬試験の受験方法
 
 一級建築士模擬試験は独学者が自らの学習成果を可視化し、そして対策を練るために必要なのである。もう一つの必要性について述べるなら、それは初出問題への対策である。一級建築士学科試験は毎年40%近くが初出問題であるといわており、過去問に対する回答率をいくら高めても合格ラインには到達しない。つまり、過去問集を何冊こなそうとも、そしてその正答率を100%にしたとしても、合格できないのだ。ここが通常の学科試験とは大きく違うところである。
 模試の申し込みは私の場合は「日建学院」か「総合資格学院」で実施している。ネットで申し込めるので手間はいらない。どちらも費用は1回5千円(税抜き)である。
 大方の模試は会場で受験する方法と、自宅で受験する方法を選択できる。複数の模試を受験するのであれば少なくとも1回は会場での受験を選択するべきだろう。やはり予行演習として一度は本試験と同じ環境で受験したほうが、例えば体調の調整や昼食の取り方などを検討できてよいと思う。同時に、資格学校の様子を確認することで、組織的受験者がどのような体制で受験に臨んでいるかを知ることができる。教室の壁には「必ず見直しをしよう」とか「過去問は100%解けるようにしよう」などとの張り紙があり、その意気込みがわかるのだ。敵を見て矢を矧ぐようでは、到底合格は危ういのである。
 
2.無料講義を受講する
 
 模試を受験すると、それぞれの資格学校からメールが送られてくる。今年度は総合資格学院から「1級建築士本試験直前10点UP無料講義」のお誘いがあったので受けてみた。開講時間は19時から21時までの2時間である。会場には約12名ほどが来場していた。いずれも独学者であるようだ。どうも講師の話を聞いていると、講師自身も独学で受験したようである。同じ境遇の体験者が語るのだからありがたい話である。
 資格学校側の利益はこの場合製図試験の受講者の獲得である。講義の冒頭で製図試験は独学では難しいと散々脅される。合格後すぐに製図試験対策に取り掛かる必要がある。そして、総合資格に申し込むなら合格後すぐに定員オーバーになるから早く応募しなければならない。つまりそういうことである。
 講義の内容は、本試験会場で資格学校が路上配布する「直前対策小冊子」に基づき行われた。毎年思うのだが、この直前問題集は総合資格のほうが日建学院よりもよくできている。さてその解説で特に強調していた内容を簡単に説明する。
  1. 基本的に落とすための試験なので問題文にはトラップが仕掛けられている。このトラップを見抜く力を養う。
  2. 法規と構造は初出問題が少なく範囲もある程度限定されるので、この2科目で50点を目指す。
  3. 法規と構造、構造と施工は同じ内容の設問が出やすい。したがって、構造や施工の数値に関する出題を覚えると得点力を効果的に高めることができる。例えば構造設計やコンクリート養生期間など。
  4. 直近の法規改正部分はその年度に出題される可能性が高い。
  5. 一級建築士学科試験は毎年40%から50%が初出の出題となる。過去問だけでなく建築業界の事情や新しい技術知識を常に取り込む努力を要する。
  6. 製図試験は学科試験よりさらに難しい。最初は10時間かかる製図を2時間でこなせるようにならなければならない。
  7. 学科試験の知識は製図試験でも問われる。学科試験で高得点を取ったものは製図試験の合格率が高い。
  8. 年々、一級建築士試験は難しくなっている。早く合格することが必要。
 挑戦はまだまだ続く。このブログ記事を書いていると、来年度は学科に合格できそうな気がしてきたから不思議なのである。