いよいよ時代は平成から令和に変わったのである。令和元年という記念すべき一級建築士学科試験を受験してきたのである。全く凝りもせずようやるよねぇ、など言ってはいけない。5回目の受験を迎えた本年は、小職が一級建築士となる輝かしい元年になんとしてでもしたい、と思うのであった。
それにしても、もはや5回目ともなると、受験に関するあらゆることが当然のように進んでいくのであった。いわゆるルーチンワークである。そしてこのブログを読んでくださっている皆さんも毎度の同じ報告にそろそろ飽きてきたのではないか。そう思って今回は新しい出来事だけをお送りしたいと思う。
1.えっ、受験番号が連番になっていない?
5回も受験した私の経験では、着席場所を探すには受験番号をたどればおおよその当たりをつけることができたのである。しかし、今年はなぜか番号が飛んでいる。それも一桁ではなく2桁の数字で飛んでいるのだ。これは分かりにくい。例えば受験番号が10123であれば10120の3つ後ろの席であると予測できる。ところが、10100のすぐ後ろが10123であったりする。もしかすると、システムの入れ替えがあったのかもしれない。
2.「監理者」とは誰でしょう?
最近の一級建築士学科試験の出題傾向はいたって均一であり、さほど大きく変わることはないのである。しかし今回は大きく違う科目があった。それは「施工」である。では何がどう変わったのか。下記の設問文章を読んでみてほしい。
- 〔No.3〕 材料管理及び品質管理に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
- 〔No.10〕コンクリート工事に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
~において、の後ろはすべて同じなので以下では省略する。
- 〔No.14〕鉄骨工事に関する記述において~
- 〔No.15〕木工事に関する記述において~
- 〔No.17〕石張り工事、タイル工事及び左官工事に関する記述において~
- 〔No.18〕金属工事及びガラス工事に関する記述において~
- 〔No.19〕内外装工事に関する記述において~
- 〔No.20〕設備工事に関する記述において~
- 〔No.21〕各種工事に関する記述において~
去年までの設問には以上のような「監理者が一般的に行うものとして」という文はなかったのである。そこで疑問に思うのはこの「監理者」であるが、当然監理技術者ではなく「工事監理者」の事であろうと思う。しかしなぜ唐突に「監理者」が登場するのか不思議なのである。回答するほうは当然意識せざるを得ない。
そして、実際の設問の内容に目を向けると〔No.11〕では写真が登場している。ビジュアルな設問なのである。写真は「フレッシュコンクリートの現場受け入れ時の品質検査状況」となっている。
つまり、総合すると「施工」については工事監理者としての立場を説明する設問がより具体的に出題されるようになったといえる。建築士としての業務の中に「工事監理」が増えたためであろうか。ただし、設問の内容をさらに詳しく見ると、空気量や単位水量など、どちらかというと「監理技術者」がチェックするべき項目が多く含まれているように思う。もしかすると、設問の「監理者」とは、工事監理者に限定せず、監理技術者や監督員も含めているのだろうか。いずれ総合資格や日建学院で解説があるかもしれない。
3.とっても焦ってしまった
毎度のことなのであるが、問題用紙に回答を書き込んで、あとでまとめてマークシートに記入する。ほとんどの人がこの方法で回答していると思うのだが、今回思わぬ落とし穴にはまってしまった。それは「構造・施工」のマークシートで起きた事件である。この「構造・施工」のマークシートには「構造」と「施工」のマーク記入欄が一枚のシートに並んでいるのである。
小職は一度回答をマークシートに転記したのちに、時間が余ると見直しをかけて回答を書き直すことがある。「構造・施工」の課目では20分ほど時間が余っていたので「構造」そして「施工」の回答を見直した。そして終了5分前に転記が正しいかを確認しようとしたその時である。シートを見てあることに気づいた。「施工」の書き直しを間違えて「構造」のマークシートに修正していたのである。3問ほど修正した直後だったので、覚えていたのだが、危うくパニックに陥るところであった。修正してしまった箇所を再度記入を戻して、正しいマークを修正したことで、結構時間のロスをしてしまったのである。
4.総合資格学院による今年の合格基準点はナント98点(予測値)
試験が終わった直後というのは実に都合よく「今回は合格間違いなし!」と思うものである。もちろんそれは小職とごく一部の方々のことだ。そして、その2時間後には採点結果をみて落ち込むのであった。
試験終了後に喫茶店に立ち寄り回答を総合資格に送って得た採点結果は「91点」
であった。ご存知と思うが一級建築士学科試験の場合は毎年合格基準点が変わるのである。平均的な合格基準点は90点である。変動幅は大体±4点程度である。従って、今年度91点を獲得できたものの、もし合格基準点が92点であれば不合格となるのである。ちなみに去年の獲得点数は90点であったが基準点が91点であったため不合格となった。
さて、今年度の合格基準点であるが、
総合資格学院によるとなんと98点とでている。もちろん予測値なので多少の誤差があるものの、最大数の受講生を抱える総合資格学院では受講生の点数を回収できるのでかなり精度は高い。つまり、小職は今年度も落選の可能性が極めて高いのであった。
5.来年度は学習方法の見直しが必要なのである
これまで小職は過去問学習を中心に繰り返してきた。その結果どうやら点数が伸び悩んでるのである。実は以前も簿記2級の受験で同じように点数が伸び悩んだことがあった。このときの原因は基礎知識の不足だったのである。
日商簿記の試験では簿記という概念の獲得が主であるものの、実際には現場でのオペレーションに必要な知識の獲得が中心となる。そのため、簿記の実務を行わないで簿記を受験すると、理解できない点が多く残る。例えば伝票を帳簿に転記する際のルールなどは主に簿記三級の範囲であるが、簿記2級では転記のオペレーションやその意味を理解していることが前提となっている。そこで再度簿記3級を学習したうえで受験してやっと簿記2級に合格したのである。
一級建築士試験も同様のはずなのである。特に施工については、今回「監理者」の観点が求められているように、現場での実務を問う問題があり、それは本来基礎的な現場の知識を持っていることが前提となる。
以前、総合資格学院の模試を受けた時に、廊下にアンカーやボルトの見本がおいてあり、なるほどと思ったものだ。総合資格学院では「施工」についてはビデオを見せたり実際の部材に触れながら学習するようなのである。であるから、実務経験のない独学者と、資格学校受講生というのは、机上の空論と仮想的実務経験といった獲得知識の違いがあるのだ。
正直なところ私は設計の経験はあるが、内装設計であるために基礎工事やコンクリート工事は全くの未経験なのである。これまで少しずつでも獲得点数が増えていたため、学習方法に疑問を持たなかったが、やはり基礎からの学習を早めに着手する必要がありそうである。特に、基礎的理解を得られるまでノートへの書き込みが必要になるだろう。
来年度に向けて、さっそく書き込み用のノートを購入する予定なのである。