一級建築士資格独学散歩道

一級建築士資格取得までの道のりを散文的に綴ります。

シリーズ【独学流一級建築士】その3「過去問や模試の使い方」

 今回は、これまで5年間という長きにわたり試行錯誤した資格試験の具体的学習法の中から特におすすめのものを紹介します。

 
1.物理的繰返し学習法(チャコペンを使う)
 
 一級建築士の学科試験の設問は4択問題がほとんどである。これはほかの資格試験でも同様で、建築系に限らず例えば「ビジネス実務法務」や情報処理系の「IPA試験」も基本の設問は4択問題である。そして、これらの四択問題を解く際は多くの人が選択肢に〇×△の書き込みをすると思う。一度書き込みをした問題用紙を再び使おうとするときが問題である。前回の書き込みが残った状態では、その選択肢に対する正誤のアンカリングがもたらされ、そのため思考が遮断されるのだ。そのため以前私は問題用紙をコピーして使ったり、あるいは記号は別な用紙に書いたりといろいろ工夫したのだが、どれも極めて面倒なのである。
 
 そこで、思いついたのが一定の時間がたつと自然に消えるペンである。実はこのようなペンは以前は売られていたようである。と思ってググってみたら実は今でも売っているのであった。しかし私がおすすめしたいのは、わざわざ学習用に開発された消えるペンではない。裁縫のために開発され販売されているチャコペンである。このチャコペンは裁縫を行う方々から長く愛用され続けている裁縫界の定番道具なのであった。
 チャコペンは先が太いものと細いものの2種類がある。ペンの両端に細ペンと太ペンを配置したものもあるが、細ペンは極端に乾きやすく早い時期にインクが出なくなってしまう。それと太細一体型のペンはキャップにクリップがついておらず扱いにくい。しかも、使うときに外したキャップをペン本体に固定できないのである。そのため、太ペンと細ペンが一体のものを購入するのではなく、個別に買うことをお薦めする。
アドガー チャコエース-1 太書・紫 AB-1

アドガー チャコエース-1 太書・紫 AB-1

 
アドガー チャコエース・ファインマーカー紫

アドガー チャコエース・ファインマーカー紫

 

  さて、〇×△の記号を書く際は太ペンを使う。計算式などの文字を書く際は細ペンを使う。先ほど説明のように細ペンはインク切れが早いので、できるだけ太ペンを使うようにしている。

 書いた文字が消えるまでの期間は5日前後。2週間でほぼ完全に消える。問題用紙に記入した〇×△の記号は、次に紹介する選択肢正誤判定学習法のフォームに転記する。問題を解いた翌日に転記を行うこともあるため、1日で記入が消えるのは具合がよくない。その点でこのチャコペンの消去スピードはちょうどよいのである。
 実はこの「物理的繰り返し学習法」については以前も紹介していたりする(しかも「VR学習法」などと変な名前を付けている)。ペンの消え方も詳しく紹介しているのでよろしければ参考にしてほしい。 
2.選択肢正誤判定学習法(Excelを使う)
 
 さて、「物理的繰返し学習法」では時間がたつと自然に消えるペンを使用することで、問題用紙にダイレクトに書き込みを行いながら物理的に同じ問題用紙を再利用する方法を紹介した。この方法では、記入したものは時間がたつと消えるので、回答履歴を残す必要がある。そして、3回ほど同じ問題集を回答した結果、何度も間違った設問を重点的に学習するのである。逆に、毎回正解できる設問は除外する。この正答可能な設問を除外していくことで、徐々に学習効率を上げようというのが、この「選択肢正誤判定学習法」の本質なのである。
 正誤判定は選択肢のレベルで行う。建築士学科試験の問題はすべて四択である。この四つの選択肢すべてについて正誤を判定していく。これにより、選択肢の組み合わせ変化による新たな設問に対応しようというのが「選択肢正誤判定学習法」の第二の目的である。
 では、具体的にその方法を説明する。

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選択肢正誤判定シート
 実際のエクセルシートを見てみよう。1行目から11行目まではヘッダ情報である。A列に試験年度があり、その試験を解いた結果の集計値が表示されている。
 実際の入力は14行目以降の入力フィールドで行う。この14行目以降には対象学科の選択肢番号がすべて記入されており、その選択肢に対する正誤がD列に「1(正しい)」か「-1(誤り)」で記入されている。ちなみに、正しいものを選択する設問の場合は、上記シート例26行~29行目のようにマイナス値の数が反転する。この設定での「正しい/誤り」は設問への4択の正答選択肢を示すものではなく、個別の選択肢文そのものの正誤を判定する形になるのだ。
 さて、前段で説明の通り、チャコペンで回答記入した「〇△×」にしたがってそれぞれ「1、0、-1」をE列に記入する。その右側のF列には計算式があり、D列とE列の差分の絶対値を表示している。
 ここで、再度ヘッダー情報(1行目から11行目)の説明に戻る。実施日(E列)の右にはパーセンテージが表示される。すべての選択肢に対して正しく正誤判定ができれば100%になる。しかし、設問自体が正答しても(つまり実際の試験で得点できたとしても)、そこに含まれる選択肢の中に誤った回答をすると減点される仕組みになっている。つまり次のような計算で正答率を割り出しているのだ。
= {(選択肢の数)-(正誤欄の合計値)} ÷(選択肢の数)
 入力フィールドの一番右端(M列)には「判定」欄がある。ここの数値が大きいものは、特に正答率が低いものを示している。つまり、判定が一定以上の数値となる選択肢に対しては強化学習が必要と判断できる。試験前1か月になったときに、この欄を参考にして、誤答率の高い選択肢を解くようにする。私の場合は、問題集のこの数値が高い選択肢に細い付箋を貼り、そこを繰り返し学習するようにした。逆に、正答率が高い設問にバツ印をつけて、効率的な学習を進める方法もあると思う。どちらの場合も、この学習結果の記録がカギとなる。
 
3.おまけ
 
 以前から使っているこのエクセルファイルを皆さんのために公開したい。なぜならここで紹介したエクセルファイルを作ってかつ年度ごとに回答を設定するのが結構大変だから。しかし、どうやらはてなブログにはファイルアップロードの機能がなさそうなのである。そこで、苦肉の策として小職の姉妹ブログ「おしまいのページにて」のほうにファイルをアップロードした記事を掲載しておく。
 

【寄り道】プログラミングな独学のすすめ(その1)Pythonに立ち寄る

 このブログは一級建築士資格を取得しようとしている皆さん向けに書かれているのだが、今回はちょっと脇道に逸れるのである。いわゆる寄り道なのだ。

 「不気味の谷」というものがある。おっと、寄り道したとたんに藪から棒なのである。この「不気味の谷」の意味するところは特にロボットのような疑似人間的なものの見た目が人間に似れば似るほど不気味に見えてくるとう奇怪な現象のことを指す。ご存知ソフトバンクのペッパー君は、この不気味の谷を避けるためにアニメキャラクター的な顔立ちをしている。ロボットのデザインというのは、このような心理的な親しみやすさに重きを置くのだと思う。

 

 ペッパー君が所属するソフトバンクは最近とみにロボットに力を入れていて、建設とも深く関わるようになっている。建設現場に実証実験的にロボットを投入しだしたのだ。可能であれば、次の映像を見てほしい。見てわかる通り、動きがなんとも不気味なのである。ただし、このロボットは作業を手伝ってくれるわけではない。工事現場内をチェックして回るのだ。つまり工事監理者の代わりなのである(((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル)
 
 今や建設現場にもITの波が押し寄せ、さらに設計現場でも人工知能による自動設計が注目されているのは周知のことと思う。そして、自動設計やロボットの導入に欠かせないのがプログラミング技術である。このプログラミング技術というのは、実は建築とも電気とも異なる。よく私たち建設系技術者というのは、電気などの技術者に対して理解できない部分が多い。なぜなら、電気は見えない技術だからなのである。建設は見える技術である。ではプログラミング技術は見える技術なのか、はたまた見えない技術なのか?
 
 私の考えでは、プログラミング技術は建設技術とも電気技術とも全く異なるものだ。それはいわば建築設計図面を言葉で書くようなものである。ITの現場でも、システムを「構築」するという。その論理的基礎になっているのがプログラミング言語である。つまり、プログラミングとはコンピュータ内の仮想空間に、言葉を使って何かを構築することなのである。そして、プログラミング言語とはコンピュータとの会話のためのごく単純化された言語なのである。
 
 大きなくくりでは「言語」は、自然言語と人工言語に分類される。私たちが一般に使用している、日本語、英語、中国語などは自然言語と呼ばれる。人工言語には、機械語(マシン語)、マークアップ言語、そしてプログラミング言語などがある。BASIC、COBOL、C、などが古くからあるプログラミング言語の代表例だ。近年そこに新たなプログラミング言語が加わった。一般に普及しているのは、JavaとそしてRubyとPythonなどである。Rubyは日本人が開発した。Rubyの開発者である松本氏は「Pythonに満足していたらRubyは生まれなかった」と述べているらしい。
 
 これらプログラミング言語の違いを建築的にのべるなら、鉄鋼造とかRC造などの構造の違いであるといえる。鉄骨造とRC造ではその自由度が違うように、使用するプログラミング言語によって、構築できるシステムの範囲は変わってくる。大規模でち密な設計をするのであればC言語が適している。Webという空間に構築するのであればJAVAが適している。そこに、データ解析や機械学習と連携できる言語としてPythonが注目されてきたのである。
 
 はたして、これまでの説明でプログラミング言語のイメージがつかめていただけただろうか。もしあなたが本当にプログラミング言語に触れたいと考えるなら、それは実に簡単なことなのである。かつては、プログラミングを学ぼうとしたときは言語ソフトのパッケージ製品を購入したり、あるいはそこそこ高度な手法を使って開発環境を整える必要があった。これは、建築設計で言えば以前はドラフターや平行定規などもろもろを購入し使い方を学ぶ必要があったのと同じなのである。
 しかし、今はその敷居が低くなったのだ。Pythonという言語を選択するなら、パッケージソフトを購入したり、七めんどう臭い環境構築を行う必要はないのである。
 
 もしあなたがプログラミング言語を本気で知りたければ、ちょうど良い本がある。それがここに紹介する『独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで』である。この本ではプログラミング言語の種類としてPythonを使用している。つまり、ノートパソコンとこの本があれば早速プログラミングの独学が開始できるのだ。入り口はここにあるといってよいと思う。本を開いてキーボードから「print("Hello World!")」と入力すること。プログラミングのすべてはそこから始まるのである。
 次回は、なぜ今「Python」なのかを知る場所に寄り道しようと思う。
独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで

独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで

 

 

シリーズ【独学流一級建築士】その2「最低限用意したいもの」

 一般の資格試験であれば参考書と問題集があればなんとかなります。しかし、一級建築士はかなり特殊な試験であり、いろいろ準備するものが多いです。独学で一級建築士試験に臨む場合に、どんなものを揃えればよいかをざっくりとまとめてみました。

 
〓 一級建築士受験初年度の出費
 
 対象の数が多すぎて何から手を付けてよいかわからなくなることがある。そういう場合はまず分けることだ。「分ける」は「分かる」に通じる。
 さて、そこで一級建築士資格試験で準備するべきものを分けて考えてみる。まずはざっくりと分けてみた。
 
 
 
学科試験
千円
製図試験
千円
筆記具
チャコペン(0.5K×4本)
三色フリクションボールペン(2K)
4
製図版(平行定規)(20K)
シャープペンシル(1K×2本)
三角定規(5K)
テンプレート(3K)
三角ケール(2K)
32
参考書
総合参考書(4K)
個別の参考書(3K×5冊)
19
製図試験指南書(4K)
3
問題集
7年分過去問集(3K)
4
製図対策問題集(3K)
3
その他
建築法令集(3K)
模擬試験(5K×2回)
13
製図用紙(1K)
エスキス用紙(1K)
2
合計
 
40
 
40
※カッコ内は単品等の価格(千円単位)を示す
 
 最低限必要と思われる物品購入には学科試験だけで約4万円ほどかかるのである。さらに、不足する知識を補うために個別の参考書が必要にる。参考書1冊の相場は2千円から3千円でありおそらく5冊程度は必要になると思う。一方、製図試験については製図版が必須でありこれは約2万円である。製図道具や指南書も合わせると合計でやはり約4万円である。そして肝心の一級建築士試験の申込に2万円ほどかかる。
 つまり、一級建築士を受験するためには独学であったとしても初年度は少なくとも10万円程度かかるのである。そして翌年も受験となった場合は受験料や法令集、問題集、参考書の買い足しや模擬試験などもろもろで5万円かかるのである。私のように5年目に突入すると、初年度10万円、2年から5年までに5万円×4回=20万円、つまり合計30万円の出費となる。
 
〓 最初から買っておけばよかった参考書
 
 私の場合は途中で必要な参考書を買い増していったのだが、最初から購入しておけばよかったと思ったのは以下である。ここで、特に法規に関連する参考書の購入については注意がある。建築基準法関連の法規は改訂が頻繁にあり、出版年が古い書籍では対応していない場合が多い。必ず出版年を確認してから購入する。資格学校では法改正部分については積極的に情報を配信しているので、独学流には極めて不利なのである。
 それでは、科目ごとに、購入した方がよかったと思った参考書を紹介する。
 
1.構造
「構造計算のツボ」「構造設計のツボ」
 タイトルだけを見て最初これはどちらか1冊あればよいと思い「構造計算のツボ」を購入した。これは学科「構造」の最初に出題される構造計算問題への対策本となる。構造計算を理解できれば構造設計についても理解が進むであろうと考えていたのだが、そうではなかったのである。そして3年目の時「構造設計のツボ」を購入したのだ。
 「構造設計」は建築基準法と構造設計指針とに則り進める必要がある。これが一筋縄では理解しがたい。つまり、体系立てた解説本の助けが必ず必要になるのである。特に法規で出題される構造設計に関する設問は体系的理解なしには回答不可能に思える。であるから、この2冊はぜひとも揃えて必要な図書なのであった。 
一級建築士試験構造設計のツボ

一級建築士試験構造設計のツボ

 
2.ゼロから始める建築の「法規」入門
 この本は原口秀昭氏が著者である「ゼロからはじめる」シリーズの「法規」版である。この「ゼロからはじめる」シリーズはとにかく絵が豊富に使われていて直観的に理解しやすい。すべてのページに図や票が盛り込まれており文章が占めるスペースは10%~40%程度に抑えられている。
 特に工法や構造に対する理解が必要な「施工」や仕組みに関する理解が必要となる「設備」などもお薦めである。その中で「法規」は特にお薦めなのだ。なぜなら、この本の解説では建築基準法で規定されている事項の背景や制限の理由が書かれているからなのである。つまり複雑怪奇意味不明な建築基準法のなぞのを要所要所で解き明かしてくれてすっきり感を得られる読み物としても十分に耐え得る本なのであった。 
ゼロからはじめる建築の「法規」入門

ゼロからはじめる建築の「法規」入門

 
〓 独学流インターネットの活用
 
 近年になり一級建築士資格取得が独学で可能となったのは、インターネットが普及したからに他ならない。そして、もしインターネットがなかったならば、まさにこのような独学受験体験記を公開することは不可能であったと言える。それに、もしWeb検索ができなければ、試験勉強中不明な用語に出くわすたびに途方に暮れていたか、一日中図書館で過ごす羽目になっただろうと思う。
 今やインターネット上では、施工の鉄筋工事や防水工事の施工現場が動画で紹介されていて、建築施工に関する理解を早めることが可能になっている。このように、現代ではインターネット環境の進化が独学流一級建築士たちを支えているのである。
 そこで、独学流一級建築士に役立つサイトとしてどのようなものがあるのかを解説する。筆頭はやはりこの二つのサイトである。
 
1.建築士ドットコム
 初めて一級建築士を受験しようと思っている方はぜひともこのサイトを覗いてほしい。標準的な学習プランからおすすめの書籍まで一通りそろっている。そして、建築士ドットコムのメールマガジンもお薦めである。ある期間になると毎日メールが送られてきて、メールにはひとつの学科問題が掲載されているのである。自分でスマホに問題を用意しなくとも勝手に模擬問題が送られてくるので、電車の中で時間を無駄にしないために非常に助かるのである。
 
2.教育的ウラ指導
 こちらは草の根的な独学サイトである。サイトを開いているだけではなく、最近は書籍も多く出している。製図の手法が書かれている「製図試験のウラ指導」はものすごく合理的で、自然とプランニングができるように工夫されていてお薦めである。
 
 さらに、この「一級建築士資格独学散歩道」では物足らない方には、こんなサイトはいかがだろうか。これらのサイトは最近発掘したのだが、いろいろ参考になる点が多いのである。
 
3.趣味の建築
 当ブログと似た感じの散文調で書かれていて文章が読みやすい。ブログ当主は学科を一発合格したので現在は製図試験のノウハウを解説中である。
 
4.一級建築士独学メモ
 こちらのサイトは2010年に合格された方のメモ的なサイトである。全体的に過剰な装飾のない無味乾燥なサイトであるが、必要物件はほぼそろっているようにも見える。ほぼ箇条書きのレポートのような文章である。
 
〓 受験に要する時間を考える
 
 最後に、一級建築士学科試験に要する時間について解説する。時間がなければ独学流だろうと示現流だろうと一級建築士試験に合格するのは難しいのである。
 学科試験合格の必要時間については例えば、建築士ドットコムの場合は時間設計として、1日3時間を推奨している。これに基づいておおよその必要時間を集計すると次のようになる。
平日:1日1.5時間×2コマ=3時間
   ⇒3時間×20日=60時間/月
土日:1日5時間×8日=40時間/月
2月から7月の6か月×100時間=600時間
 もちろんこれは一般論であり設計事務所に就職していればもっと短い時間で済むと思うのである。
 ただ、この600時間というのは必要時間数というよりも1年間の限界時間数といったほうが良いかもしれない。平日に3時間の学習というのは一見容易に見えてそうでもない。会社帰りに喫茶店で18時から学習を開始しても21時まで学習時間として拘束されるのである。残業があればさらに1日の時間消費が増え勢い睡眠時間を削ることになる。であるから、やはり独学の場合は2年を目標として学科試験合格を目指すのが良いと思うのである。ただし、そう思って2年目に突入した後にずるずると合格できなくなる可能性もある。いやこれは小職が身をもって体験した上での全くもって説得力のない忠言なのであった。失礼いたしました「(^^)

JFMA資格更新講習を受講してきた

 アメリカが提唱したファシリティーマネジメントとはいわゆる施設としての建築物活用をどのように最適化するかとう課題に対して答えを導き出すマネジメント手法を指す。施設管理を担当していた関係で2013年に私もこの「認定ファシリティーマネジャー資格」を取得したのであるが、民間資格であるために5年の有効期限が設定されていたりする。そこで更新が必要になり、資格更新セミナーを受講してきた。
 場所は一橋にあるNII(国立情報学研究所)である。JFMAから送られて来た案内では場所が「学術総合センター内一橋大学一橋講堂中会議場」となっているが同じ場所である。もともとここに一橋大学があった名残なのだろう。あるいはNIIは国立大学協会か何かの下部組織団体なので、施設を共有しているのだろうか。
 会場がNIIであることが分かり一安心した。1階のエントランスから階段を上がるとすぐに会議場があり、早速受付担当者に受講票を提出した。受講票には顔写真を貼るA票と控えのB票があり受講証明のにスタンプを押してくれる。さすがに日経新聞社が後援しているとあってなかなかしっかりした対応なのである。

 

 講習は午後1時から5時までの4時間である。その10分前に会場に入ると300名程度の収容スペースがほぼ満席の状態であった。この講習に出席しなければFM資格が継続できない、しかも資格継続のために3万5千円ほどを払い込んでいるとあって全員出席が標準となったのだ。国家資格ではないので実務上ほとんど役には立たないのだが、せっかくとったのだから継続したという人も多そうだ。
 講義の内容は、5年の間にJFMAの解説書籍が改定され追補版が新装版にインクルードされたこと、ファシリティマネジメントがISO規格に組み込まれる予定であること、ダイバーシティーや環境問題への取り組みを強化したことなどである。講習は休憩をはさんで3つに分けられ、それぞれ登壇者が2名ずつ、合計6名が登壇する。4番目の登壇者は日建設計の方である。面白い話が聞けるのかと思ったが単に早口なだけで期待外れだった。
 面白い話は最後の事例紹介であった。一級建築士試験の「計画」にも出題されそうな建築事例が目白押しである。食い入るように聞いたのだが、いかんせん説明の時間は少ない。それでもそこには一般の建築とは違う視点があり時代の変化を感じ取ることができた。開発という概念でしか成り立っていなかったこれまでの建築を否定するわけではないが、すでに地球上に未開の地が消滅しつつある現代、そして自然環境の変化に対応しなければならない将来に向けて、建築分野が新たな試みを開始した一つの側面であるといえるだろう。
 ほとんど期待せずに出席した講習であったが、最後の事例紹介を聞けて良かったのである。そこで、この事例紹介をここで紹介しておこうと思う。といってもJFMA賞という企画で選出されたもの限るのだ。以下のホームページで数々の事例を見ることができるので、私も暇なときに閲覧しようと思う。
 
 戦後日本の建設は高度経済成長のさなかに古い構築物を破壊し新たに近代的な構造物を新築することが中心だった。しかし、成長経済が陰りを見せている今はリノベーションが建築の中心になりつつあるのだ。
 かねてから疑問がある。それは木造住宅の耐用年数は50年という定説。おまけに鉄筋コンクリートのマンションまでもがなぜか50年たてば建て替え対象との認識が多いらしい。しかし周りを見れば古民家がリノベーションで民泊に活用されたり、マンションがコンバージョンされオフィスになっていたりする。都心で高層ビルがバンバン建ちまくるその片隅で、これまで専門家としての建築家の枠からはみ出し、一般の生活者の知恵による構造物の利活用が進んでいるのである。
 実はこのような生活にひらかれた建築こそが、私が目指す一級建築士の近傍なのである。

 

シリーズ【独学流一級建築士】その1「学習基礎力の構築」

 学習の基本はインプット。このインプットを加速することでより効率的な学習を可能にするとともに、試験問題の読解力というもっとも重要なアドバンテージを得ることができます。なぜ速読が必要なのか、そして、速読に関する習得方法を解説します。

 この回からは、独学流一級建築士というシリーズに代わる。あくまでも、散文的につづらねばならぬ。さて、このノウハウをどうやって散文にするのか。ふと、2002年ごろ「ザ・ゴール」という小説仕立てのハウツー本が流行したのを思い出したのである。そこで、このシリーズではいわゆる「ザ・ゴール」風の展開となるのであった。 続きを読む