一級建築士資格独学散歩道

一級建築士資格取得までの道のりを散文的に綴ります。

独学からの脱退、TACへの参入

 随分長い間このブログを留守にしていたのだが、そろそろ現状についてお伝えするのである。以前お知らせしたとおり、5回目の学科試験も残念ながら不合格であったのだ。そこで意を決して今年はさすがに独学をやめて資格学校に頼ることにした(独学を応援してくださった皆さんすみません、作戦変更します)。そこで、独学と資格学校による受験体制の違いを述べてみたい。
 選んだ資格学校は、総合資格ではなくTACスクール。なぜなら受講料金が安いから。
 小職はこれまで総合資格から営業から何度か勧誘を受けてきたが、なにしろ受講料が高いので躊躇していたのである。そこに新たな選択肢としてTACスクールが登場した。TAC自体はかなり前から一級建築士の講座を開設していたらしいのだが、業界の中にあっては新参者である。それでもTACに決めたのは受講料金が安価だから。TACの一級建築士学科口座は3種類ある。その中の総合学科口座を1月から受講している。口座のコマ数は3時間50コマ。早期申し込みキャンペーン価格は28万円であった。一般的な一級建築士講座よりもかなり安いのである。いやこれは逆だ。一般的な建築士の講座受講料が高すぎるのだ。
 TACは都内では池袋、新宿、渋谷などに校舎がありそれぞれの校舎で講師が固定している。一人の講師が全教科をこなす形式である。そして、教科の進捗は科目ごとに進められる。計画、環境・設備、構造、法規、施工の順に進む。
 教材は、教科ごとに配布される。配布教材は問題集とテキスト(参考書)である。問題集は過去10年分の過去問で構成されている。テキストは各学科試験の出題内容に合わせた構成になっている。例えば構造の教科では5章が構造設計でありその中で節が「荷重・外力」「構造設計」「耐震設計」…といった具合に分類されているのである。問題集もテキストに合わせた構成になっており、1日(2回)の講義でテキストの内容を学習したのちに、その範囲の問題集を解くのが基本的な学習の進め方になっている。
 
 これまでやってきた独学と全く違うのは、以下の3点である。
①テキストを使用した講義を受講により計画的に知識を獲得できる
②丸暗記ではなく原理や基本を踏まえた知識を体系的に獲得できる
③小テストや中間テストで自分の合格可能性を把握できる
 
 講座の内容は恐らくほかの資格学校とそん色ないと思う。しかし総合資格や日建とは異なり、TACは法律・会計系の資格学校であるため建築分野の情報量としては多くない。例えば総合資格では校舎ごとに「建築知識」や「新建築」などの雑誌が置かれているがTACではそれがない。また校舎内に高力ボルトや羽子板ボルトなどのサンプルが置いてあることもない。さらに、教室内に「絶対合格」などの精神論的な貼紙もない。
 そして決定的なのは、講師のレベルにばらつきがあり、渋谷校の講師が突出して良すぎるのである。これまで私も多数の資格に関する講座を受講したが、渋谷の講師はすこぶる良い。ちなみに渋谷校の講義はビデオに納められ町田校などに同時配信される。また、水曜日に講義ビデオがWebで配信される。途中で寝てしまった講義はWeb講義で再度受講できるので安心だ。
 
 今年の学科試験はおそらく合格できそうだ。既に4月。受験まであと3か月。時間を見て改めて資格学校の感想をつづりたいと思う。

【寄り道】プログラミングな独学のすすめ(その3=Pandas)

 さて今回も建築の散歩道から脇道にそれてプログラミングに関するお話なのである。何しろ小職は今や家族との会話以上にAmazon「アレクサ」との会話のほうが多いのだ。つまり、それくらい人工知能(AI)は日常生活に身近になったということに間違いないのである。
 実は、小職の予測ではいずれコンピュータは高度に発達していて「今年6月の売り上げデータを集計して当年度グラフを作成してぇ」とコンピュータに向かって作業をお願いすることができるようになると思っていた。こういう多少おおざっぱなお願いをAmazon「アレクサ」に言いつけると「いまはよくわかりませ~ん」などと答えるのだが、じゃあいつなったらわかるのかというと、それはさほど遠い先ではい近い将来と思っていたのである。なにしろ既に小学生がプログラミング言語を学ぶ時代なのである。今から20年後、つまり2040年ごろに大人になった現在の小学生たちはおそらく自分の分身となる人工知能をプログラミングして、当人は毎日享楽の日々を送っているかもしれない。いや、もしかするとその逆で仕事がAiを経由して割り振られ、Aiの指示通りにキーボードをタイプしたりマウスをクリックしたりして仕事しているかもしれないのである。なんともディストピアな2040年予測なのであった。
 
 さて、そんな与太話はやめにして、さっそく現代のプログラミング言語の代表格Pythonの話なのである。前回の寄り道ではPythonの優位性、つまり分かりやすさや扱いやすさを説明したのであるが、果たしておわかりいただけただろうか。今回は、さらにというか改めてというか、プログラミング言語としてのPythonの優位性について説明したいと思う。
 
 実は小職はICT関係の会社に勤めているため、ほとんどの仕事はコンピュータ上で行うのである。ちなみに同じ部署のメンバーの多くは工事現場に赴くのだが、小職は内勤なのである。いつも机上の空論よろしく主にExcelやVBAなどでデータ集計作業を行ってきたのだが、今回Pythonを使えるようになったので実務的に使ってみたのである。するとどうだろう。いままでExcelマクロで作成した集計ルーチンがなんと100分の1の行数でできることが分かったのだ。100分の1というのはいかにも大げさである。しかし、おそらく10分の一には短縮できるのである。これは、PythonのサブセットであるPandasライブラリを使用した結果である。
 
 では、Pandasが何かというと、Pythonの汎用ルーチンに付属するツールのようなもので、表計算に特化したライブラリである。ここで細かい説明をするという野暮なことはしない。その代わり、ExcelとPandasの概念的な違いを示してみたい。
 しかし、よく考えたらこれは大変に難しいことなのであった。何しろこのブログは一級建築士に関する内容なのであり、読者はおそらく建築関係なのである。建築関係の皆さんに説明するためには、やはり建築に例えて説明するのがよろしかろう。ということで、無謀にも、ExcelとPandasの違いを建築関連で説明するのである。以下。
 
通常のPrograming言語      注文住宅
PythonとかPandas        プレハブ住宅
ExcelとかExcelマクロ       建売住宅
 
 というわけで、随分と荒っぽい説明になったのである。しかし、このくらいがちょうどよいかもしれない。ではより古い技術によるものから説明しよう。つまり、その技術が世の中に登場し普及した順に説明するのである。
 まずは、通常のPrograming言語から説明する。これは具体的に言うとFortranやC言語などである。少し詳しく説明するとFortranというのは1960年ごろに開発された科学技術計算用の言語である。そしてC言語は今でもプログラミング言語の中心的な存在である。特にC言語はC言語で開発されている(少しややこしいが)。UNIXやWindows・MacOSなどはほぼC言語で開発されていると考えて間違いない。C言語はMotherオブPrograming言語なのである。
 C言語を住宅に例えるなら注文住宅となる。住宅の間取りから素材、あらゆるものが設計可能となる。もちろん、ライブラリと呼ばれる造り付けの家具をはめ込んでもよい。しかしまさに唯一無二の住宅を作ることができる分、最終的な完成物ができるまでの工程は大幅に増えるのである。
 そして次がお薦めのPython/Pandasである。Pandasではプレハブ住宅のように、家具に合わせて間取りを考えることも可能である。さらには壁にあらかじめ家具としての機能を持たせることもできるだろう。ただし、それらは注文住宅のように自由に形を決められるわけではない。あらかじめ用意されているプレファブリック素材を使うことになるのだ。そして、Pythonはいわば仕様書でPandasはその仕様書に基づくプレハブ素材群の名称と言ってよいかもしれない。
 最後に、現在オフィスで最も広く使われているExcelである。そして、これを建築に例えると、あらかじめ決められた間取りに家具を配置していくイメージである。つまり家具を配置できる空間は決まっているのであった。したがって、その選択肢の中には多くの妥協が含まれることになるのである。Excelはいわば最大公約数にという合理的設計であるため多少の不都合は我慢するしかないのであった。
 
 さて、今回のは建築的なプログラミング言語の解説を試みたのである。実は、この解説は今回で終了しようと思ったのであるが、Pythonからさらに進んで人工知能に関するお話を展開したいと思う。正直に述べるなら、果たして理解できる内容で説明できるかどうかさえわからないのである。しかし自らの理解度を確認するためにもこれは良いチャレンジとなるはずだ。と、次回にこうご期待なのである。

33.令和元年一級建築士学科試験結果報告

 時代は変わって令和元年なのである。そして今年も小職の一級建築士学科試験は玉砕したのであった。という報告を試験直後に自己採点をしてこのブログに記事を掲載したのである。そしてまた少し暇を持て余す日々を過ごしつつ9月10日の試験機関から結果発表に至ったのである。

 

さて、実はその不合格通知が昨日小職の手元に届いたのであった。あわよくば受かっている可能性もないこともないかもしれない、などと思いながらそのはがきをめくったのであった。そこには小職の各点数が書いてある。例年に倣い、点数をここで発表しようではないか。もうなかばやけくそのなのである。
 
1.計画 14
2.環境 17
3.法規 23
4.構造 25
5.施工 15
合計   94
基準点  97
 
 ということで、3点ほど足りないのである。今年の学科試験はとにかく簡単だったのだ。やはり今年も施工が鬼門となったのである。それでも自己採点では91点であったところ、実際には94点であったのは少し救われたのであった。
 さて、次回の受験はどうするか、やはりここは資格学校の力を借りねばなるまい。ということで、さっそく総合資格と交渉したのであった。総合資格の担当者は「とにかくこの独学コースを受けていただければ間違いなく次回は合格できると思います」と誘うのであった。
 しかしである、とにかく総合資格は受講料が高い。会社からの補助にも期待したのであるが、それにしても高すぎるのである。そこで実はこっそりとTACの一級建築士コースを確認したのだ。そうするとなんと、独学コースであれば何と220000円なのであった。しかも、9月末までに応募すれば50,000円引きなのである。もうこれしかない。独学コースであるから、このブログタイトルもそのままで良さそうなのである。
 
 ということで、来年度の受験に向けて、まだまだ一級建築への道は続くのであった。(たぶん続く)

【寄り道】プログラミングな独学のすすめ(その2)

 令和元年の一級建築士学科試験も無事終了した。やっと小職にも寄り道をする余裕ができたのである。会社帰りにちょっと本屋さんに寄り道をする。みなさんも本屋に寄り道をすることがあるだろうと思う。本屋に行くと、その時代の趨勢が背表紙から読み取れるのである。

 

 その日、私は最寄りの本屋に立ち寄り、そしてコンピュータ関連書籍のコーナーに寄り道したのである。その本屋は割と技術系の書架が充実していて、コンピュータ関連の書架は奥行7メートルほどの通路の両側を占める。その半分ほどをプログラミング言語の書籍で占められている。
 やはりjava本が最も多い。ジャバジャバである。しかしRubyとPythonのタイトル本もそれぞれ2から3段ほどの棚を占有している。これはごく普通の本屋の風景なのであった。ところが、最近はそこに変化が表れている。Pythonそのものの教本よりも「人工知能」や「データ解析」など、目的的なPython教本が増えているのであった。「PythonDjangoでウェブサーバ」「Pythonで人工知能(機械学習)」「Pythonによるデータ解析」。これは少し不思議なプログラミング言語本の背表紙風景なのであった。
 
 さて、前回はPythonでプログラミング言語を学ぶための書籍「独学プログラマー」を紹介した。

www.papigani.com

  もちろん独学流一級建築士を目指す私も独学つながりで一通りPythonを学習してみたのである。プログラミング言語と建築技術というのは独学できるという共通点をもつのだ。しかし、一つ大きな違いがある。プログラミング言語は実は技術ではなく言語である点である。人類は古来技術を培い、そしてその技術を「言葉」を使って継承してきたのである。つまり、言語はメタ技術といってよいと思う。

 プログラミング言語は言語である。この言語は人間とコンピュータが会話をするために生まれたのである。そして言語である以上は、実際に会話をしなければ上達しない。プログラミング言語による会話の相手は常にコンピュータなのであった。これが、小職のような人間嫌いの元祖オタクにはうってつけなのだ。さて、どうやって会話を始めるかというと、まずは挨拶をするのである。
  • print("Hello world!")
 実はほとんどのプログラミング言語の教本がこの1行を最初に紹介する。そのことがあまりに有名になりすぎて、最近では小説のタイトルになっているほどである。
ハロー・ワールド

ハロー・ワールド

 

  しかし、キーボードから「print("Hello world!")」と打ち込んでも会話は始まらない。コンピュータに通じるように会話を始めるためには人間の側がまずコンピュータの耳元でささやく必要があるのだ。そして、Python語で話ができるコンピュータは限られている。そのコンピュータの中にPython言語が理解できるアプリケーションが居なければならない。Python言語を理解できるアプリケーションのうち、もっとも気さくなのが「Anaconda」というアプリケーションである。Anacondaとの会話は「Spyder」という場所で行う必要がある。その場所はこんな形をしているのである。

f:id:papigani:20190803124506j:plain

Pythonの開発環境Anacondaに含まれるツール「Spyder」の画面
 さて、かつて小職がFortranやPerl、そしてExcel+VisualBasicで開発を行ってきた経験から述べるなら、Pythonは独学向けプログラミング言語として最高にお勧めしたいものの一つなのである。その理由は次の3つ。
1.開発環境の構築に費用が掛からず、かつ特別な知識を要しない。
2.開発環境が複数用意されていて、かつ非常にわかりやすい。
3.人工知能を含む多くのライブラリが使える。
 
1.費用が掛からず簡単
 もし、Pythonを始めるなら必要な開発環境の導入にはAnacondaというソフトウェアを導入するだけで完了する。具体的には下記のサイトからOSに合わせたディストリビューションをインストールするだけである。なお、2019年7月現在のPythonバージョンは3.7がお薦め。
 一般的には開発環境を準備するためには「コンパイラ」と「エディタ」と「デバッガ」という三つのツールを用意する。この3つが同時に導入できる環境を統合環境という。Anacondaはこの三つのツールをそろえたPython開発のための統合環境なのである。ここから先は、Anacondaを中心にしてPythonの開発作業を開始することができる。
 javaやRubyでもある程度簡単に準備できるのかもしれないが、Pythonの場合はネット上に多くの解説が掲載されているのもありがたい。
 
2.開発環境が複数用意されていてわかりやすい。
 Spyderという開発環境は、ローカルPCアプリケーションであるが、Anacondaの中にはJyupyterNotobookというものも用意されている。これを立ち上げると、Webサービス環境でのPythonの開発環境が準備できる。さらに、Jyupyter以外にも開発環境が用意されていて、自分の手元のPCには開発環境がなくてもPythonを使うことができる。Pizaクラウドなどのクラウドサービスがそれである。
 
3.人工知能とのつながり
 Pythonを使うと人工知能の開発も行えるようになる。これはPython本体ではなく、NumPyやPandas、Scikit-learnなどのライブラリを活用することで実現する。ただ、Python言語を話せるようになれば人工知能を即開発できるかというとそうではない。そこには数学的な知識が必要になる。いわゆる統計解析に係る知識が必要である。ここはハードルがぐぐっと上がるのである。なのでこの場ではあまり言及しない。
 
 ではPythonと会話してコンピュータに何をさせるのか。これは大いに悩むべきところにも思える。しかし、悩む必要はない。言語の目的はあくまでも会話なのである。HelloWorldという世界の始まりは「最初に言葉ありき」なのである。
 さて、Pythonである程度会話ができるようになったら、次のことを考えてみるべきだ。
「いったいPythonで何ができるというのだ?」
 
Pythonでなにができるのかはやってみないとわからないのである。
しかし、少なくともデータ解析が容易になるのは事実のようなのである。次回はPythonの子分であるPandasに寄り道しようと思う。

32.令和元年の一級建築学科試験

 いよいよ時代は平成から令和に変わったのである。令和元年という記念すべき一級建築士学科試験を受験してきたのである。全く凝りもせずようやるよねぇ、など言ってはいけない。5回目の受験を迎えた本年は、小職が一級建築士となる輝かしい元年になんとしてでもしたい、と思うのであった。
 
 それにしても、もはや5回目ともなると、受験に関するあらゆることが当然のように進んでいくのであった。いわゆるルーチンワークである。そしてこのブログを読んでくださっている皆さんも毎度の同じ報告にそろそろ飽きてきたのではないか。そう思って今回は新しい出来事だけをお送りしたいと思う。

 

 
1.えっ、受験番号が連番になっていない?
 
 5回も受験した私の経験では、着席場所を探すには受験番号をたどればおおよその当たりをつけることができたのである。しかし、今年はなぜか番号が飛んでいる。それも一桁ではなく2桁の数字で飛んでいるのだ。これは分かりにくい。例えば受験番号が10123であれば10120の3つ後ろの席であると予測できる。ところが、10100のすぐ後ろが10123であったりする。もしかすると、システムの入れ替えがあったのかもしれない。
 
2.「監理者」とは誰でしょう?
 
 最近の一級建築士学科試験の出題傾向はいたって均一であり、さほど大きく変わることはないのである。しかし今回は大きく違う科目があった。それは「施工」である。では何がどう変わったのか。下記の設問文章を読んでみてほしい。
  • 〔No.3〕 材料管理及び品質管理に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
  • 〔No.10〕コンクリート工事に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。

~において、の後ろはすべて同じなので以下では省略する。

  • 〔No.14〕鉄骨工事に関する記述において~
  • 〔No.15〕木工事に関する記述において~
  • 〔No.17〕石張り工事、タイル工事及び左官工事に関する記述において~
  • 〔No.18〕金属工事及びガラス工事に関する記述において~
  • 〔No.19〕内外装工事に関する記述において~
  • 〔No.20〕設備工事に関する記述において~
  • 〔No.21〕各種工事に関する記述において~
 去年までの設問には以上のような「監理者が一般的に行うものとして」という文はなかったのである。そこで疑問に思うのはこの「監理者」であるが、当然監理技術者ではなく「工事監理者」の事であろうと思う。しかしなぜ唐突に「監理者」が登場するのか不思議なのである。回答するほうは当然意識せざるを得ない。
 そして、実際の設問の内容に目を向けると〔No.11〕では写真が登場している。ビジュアルな設問なのである。写真は「フレッシュコンクリートの現場受け入れ時の品質検査状況」となっている。
 つまり、総合すると「施工」については工事監理者としての立場を説明する設問がより具体的に出題されるようになったといえる。建築士としての業務の中に「工事監理」が増えたためであろうか。ただし、設問の内容をさらに詳しく見ると、空気量や単位水量など、どちらかというと「監理技術者」がチェックするべき項目が多く含まれているように思う。もしかすると、設問の「監理者」とは、工事監理者に限定せず、監理技術者や監督員も含めているのだろうか。いずれ総合資格や日建学院で解説があるかもしれない。
 
3.とっても焦ってしまった
 
 毎度のことなのであるが、問題用紙に回答を書き込んで、あとでまとめてマークシートに記入する。ほとんどの人がこの方法で回答していると思うのだが、今回思わぬ落とし穴にはまってしまった。それは「構造・施工」のマークシートで起きた事件である。この「構造・施工」のマークシートには「構造」と「施工」のマーク記入欄が一枚のシートに並んでいるのである。
 小職は一度回答をマークシートに転記したのちに、時間が余ると見直しをかけて回答を書き直すことがある。「構造・施工」の課目では20分ほど時間が余っていたので「構造」そして「施工」の回答を見直した。そして終了5分前に転記が正しいかを確認しようとしたその時である。シートを見てあることに気づいた。「施工」の書き直しを間違えて「構造」のマークシートに修正していたのである。3問ほど修正した直後だったので、覚えていたのだが、危うくパニックに陥るところであった。修正してしまった箇所を再度記入を戻して、正しいマークを修正したことで、結構時間のロスをしてしまったのである。
 
4.総合資格学院による今年の合格基準点はナント98点(予測値)
 
 試験が終わった直後というのは実に都合よく「今回は合格間違いなし!」と思うものである。もちろんそれは小職とごく一部の方々のことだ。そして、その2時間後には採点結果をみて落ち込むのであった。
 試験終了後に喫茶店に立ち寄り回答を総合資格に送って得た採点結果は「91点」
であった。ご存知と思うが一級建築士学科試験の場合は毎年合格基準点が変わるのである。平均的な合格基準点は90点である。変動幅は大体±4点程度である。従って、今年度91点を獲得できたものの、もし合格基準点が92点であれば不合格となるのである。ちなみに去年の獲得点数は90点であったが基準点が91点であったため不合格となった。
 さて、今年度の合格基準点であるが、総合資格学院によるとなんと98点とでている。もちろん予測値なので多少の誤差があるものの、最大数の受講生を抱える総合資格学院では受講生の点数を回収できるのでかなり精度は高い。つまり、小職は今年度も落選の可能性が極めて高いのであった。
 
5.来年度は学習方法の見直しが必要なのである
 
 これまで小職は過去問学習を中心に繰り返してきた。その結果どうやら点数が伸び悩んでるのである。実は以前も簿記2級の受験で同じように点数が伸び悩んだことがあった。このときの原因は基礎知識の不足だったのである。
 日商簿記の試験では簿記という概念の獲得が主であるものの、実際には現場でのオペレーションに必要な知識の獲得が中心となる。そのため、簿記の実務を行わないで簿記を受験すると、理解できない点が多く残る。例えば伝票を帳簿に転記する際のルールなどは主に簿記三級の範囲であるが、簿記2級では転記のオペレーションやその意味を理解していることが前提となっている。そこで再度簿記3級を学習したうえで受験してやっと簿記2級に合格したのである。
 一級建築士試験も同様のはずなのである。特に施工については、今回「監理者」の観点が求められているように、現場での実務を問う問題があり、それは本来基礎的な現場の知識を持っていることが前提となる。
 以前、総合資格学院の模試を受けた時に、廊下にアンカーやボルトの見本がおいてあり、なるほどと思ったものだ。総合資格学院では「施工」についてはビデオを見せたり実際の部材に触れながら学習するようなのである。であるから、実務経験のない独学者と、資格学校受講生というのは、机上の空論と仮想的実務経験といった獲得知識の違いがあるのだ。
 正直なところ私は設計の経験はあるが、内装設計であるために基礎工事やコンクリート工事は全くの未経験なのである。これまで少しずつでも獲得点数が増えていたため、学習方法に疑問を持たなかったが、やはり基礎からの学習を早めに着手する必要がありそうである。特に、基礎的理解を得られるまでノートへの書き込みが必要になるだろう。
 来年度に向けて、さっそく書き込み用のノートを購入する予定なのである。